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ブログ移転しました!→ 知財部員を辞めた人のブログ < http://ume-patent.com > 社会人7年目の知財担当者がつづるブログです!2012年に大手メーカーの知財部からIT系企業の法務部に転職。知財担当者の日常や知財実務、書評、キャリアプラン等が主なネタ。
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プロフィール
c302f6a6.jpg UME(管理人)

某IT系企業の知財担当者。
社会人7年目(2013年現在)。
学生時代に一念発起して、弁理士の勉強を開始し、翌年、見事合格!
さらに翌年、大手電気メーカーの知財部に就職し、特許権利化を約5年間担当。
2012年、新天地を目指して、IT系企業の法務部に転職!
このブログを通して、知財部員の生き様が垣間見えれば幸いです。

ご意見、ご感想、相互リンクの申し出などお気軽にご連絡下さい!
(なお、確認するまで時間がかかるおそれがあるので、直にブログにコメントして頂いた方が確実です。)
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2013/05/25 (Sat)
最近読んだ知財本のレビューでもしてみたいと思います。

知財戦略の教科書  工夫と知識はお金に換えられる! (PHPビジネス新書)

タイトルは、「知財戦略の教科書 工夫と知識はお金に換えられる! 」。
著者は株式会社ブライナ代表の佐原雅史氏です。

ブライナは中小企業などに知財戦略のコンサルティングを行っている会社で、私が数年前に知財コンサルタント育成研修に参加していた時(詳しくはこちら)に名前を見聞きした記憶があります。

本書は、ブライナでのコンサルティング事例を元にしており、またおそらくは今後の同社の営業活動のための布教資料という側面もあり、そこらへんの傾向がもろに出ている内容となっております。

以下、内容について紹介します。


まず、本書の特徴的な点として、「知財戦略」の定義が挙げられます。

本書では、知財の対象を特許や商標などからさらに広げ、顧客リストや製造マニュアルといったいわゆる「知的資産」まで含める概念としています。
その上で、このような知的財産をうまく管理し、活用することを知財戦略と言っているようです。

この前提を頭に置いておかないと、後々違和感を感じることになります。


本書では、知財戦略の元となる知的資料を、「販売先資料」、「アイデア資料」、「マニュアル資料」の3つに分け、これらの資料について蓄積、換金、守りを実践することが知財戦略であると述べられています。

そして、企業がどの知的資料にフォーカスして蓄積するのかによって、企業を「販売先資料タイプ」、「アイデア資料タイプ」、「マニュアル資料タイプ」の3タイプに分類し、それぞれのタイプに応じて蓄積、換金、守りに振り分けるリソースの割合を調整するべき、と書かれています。

これが本書のベースとなるアイデアであると思われます。


それ以外に、社内の各部門(営業、開発、知財、社長など)が上記の知財活動にどう関与するべきか?、特許マップを使った研究開発戦略、社内アイデアの取り扱い方針、出願手続の基礎知識、などについて書かれています。


本書を読んだ感想ですが、正直、私はあまりピンときませんでした。

上で述べた知財戦略の定義といい、本書で紹介している知財戦略は、普通に知財の仕事をしている人にとっては違和感を感じるものが多いと思います。
正直、私も「それはCRM(※)だろ」と言いたくなる内容まで無理やり知財戦略に含めているような印象を受けました。
(※Customer Relationship Management)

もちろん、企業全体としては、やらなければならないところなので、コンサルティング的には間違っていないと思います。
しかし、一知財担当者としては、ここまで首を突っ込むのは現実的じゃないだろと思ってしまうのも事実です。
まあ、そもそも本書の対象が一般の知財部員ではないということのような気もしますが。


また、本書ではいくつか実際の企業が事例が紹介されていますが、
「こういう取り組みをしました。うまくいきました!」みたいなかんじで淡々と書かれているだけで、内容が薄く、参考になる箇所が少なかったです。

実際は、知財活動を定着させたり、結果を出すに至った過程で、様々な苦労や工夫があったはずですが、そこらへんの話は書かれていません。

まあ、これはクライアントとの秘密保持やコンサルティングのノウハウを守るためには、しょうがないことかもしれませんが・・・。


その他の話(特許マップの活用の仕方、アイデアの取り扱い方など)も、いかにも教科書的で、「まあ、そうだよね」くらいの感想しかなかったです。


以上、私が本書を読んだ感想としてはこんな感じでしたが、もしかしたら、中小企業の経営者が読めば感じるところが異なるのか?、興味のあるところです。

知財戦略の教科書  工夫と知識はお金に換えられる! (PHPビジネス新書)
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■関連
知財戦略コンサル研修概要
知財コンサルシンポジウム2010
知的財産戦略


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2013/01/25 (Fri)
黒船特許の正体-Apple、Amazon、Googleの知財戦略を読み解く- (OnDeck Books(Next Publishing)) 久々に知財系の本のレビューでも書こうと思います。

松倉秀美氏の「黒船特許の正体-Apple、Amazon、Googleの知財戦略を読み解く 」です。

後に述べる事情で、本書は分量的にかなり薄く(約70ページ)、一瞬で読み終わります。

本書は、インターネット企業として世界を席巻しているApple、Amazon、Googleの3社について日本の特許を取り上げつつ、彼らの知財戦略に迫るという内容になっています。


まず、アップルについて紹介されています。

アップルはハードウェアからソフトウェアまでを手がけている企業でありますが、その中でも、タッチパネルをはじめとしたユーザインターフェースの特許取得に熱心であるようです。

例えば、iPhoneなどでおなじみのスワイプによるロック解除、静電容量型のタッチパネル構造、MacでおなじみのPC画面下のアイコン収納ドッグ、初期iPodに用いられた回転ホイールを使った加速スクロールについての特許などです。

さらに、ジョブズがデザインにこだわっていたことを示すように、意匠についてもしっかり権利を取得しています。
iMacやiPadなどの製品本体の意匠に限らず、iPhoneの包装やアップルストアの外観まで意匠をとるという力の入れようです。
(なお、本書とは関係ないですが、アップルのデザインについては、こちらの記事も参考になります。)

やはり、アップル(ジョブズ)がデザインやユーザエクスペリエンスを重視していたことが伺える知財戦略になっています。


さらに、アマゾンの章では有名なワンクリック特許が、グーグルの章ではページランクの特許が紹介されています。

アマゾンについては、技術というよりビジネスモデルに特徴があり、それほど特許取得は進んでいないようです。

グーグルについては、権利譲渡を受けた特許が結構な割合で存在していることが特徴です。
傾向としては、自社ビジネスのコアとなる検索関連については自社で特許を取得し、OSであるAndoroidについては他社から特許を調達しているそうです。


惜しむらくなのは、本書のあとがきにあるように、筆者が執筆中に病気にかかってしまい、執筆が中断してしまったことです。

そのため、本書は、分量的にかなり少ないですし、筆者が書きたかったトピックが書かれないまま終わってしまっているのが残念なところです。

やはり私としては、本書が上記3社の日本特許の紹介だけにとどまっており、肝心なアメリカ本国やそれ以外の国における3社の特許取得状況に触れられていないのは不十分であると思うし、筆者が書く予定でったfacebookやtiwtterなど他のIT企業の知財戦略についても取り上げて欲しかったです。


とは言え、そこらへんの話は、IT業界の知財に身を置くものとして自力で研究するべきという気もしますね・・・。
そいういう意味で、本書は、IT企業の知財戦略について勉強するきっかけとして良いのではないかと思います。



2012/05/21 (Mon)
久々に、知財本のレビューでもしてみたいと思います。
へんな商標?
今回紹介するのは、「へんな商標? 」です。
著者は、友利昴氏。

1年ちょっと前(本エントリー執筆時)に出版された本で、出版当時から気になっていましたが、諸事情で手がつけられず・・・。

先日、ようやく購入し、読み終えました。

本書は、その名の通り、見る人が「どうしてこうなった?!」と思わず首をかしげるような珍商標、あるいは、超有名人に関係する商標など、一癖も二癖もある「へんな商標」を紹介するものです。

さらに、そのような商標に対して、著者のハイテンションな(且つ、若干滑り気味な)ツッコミが綴られております。


本書を読んで、個人的にウケのが、株式会社筑水キャニコムの商標群。

まるで、社長が思いついたオヤジギャグをそのまま出願したかのような、しょうも無さがたまりませんでした。
じわじわとくる系の面白さです。

本書の限られた紙面において、なんと4度(!)も登場し、思わず「またお前か!」と突っ込むこと受けあいです(笑)


あと、本書のコラムで紹介された、日本の登録商標第1号が興味深かったです。

意外にも、日本初めての登録商標は、図形(絵)の商標で、しかも「どうしてこんなん出願したんだ?」と思うような謎の商標でした。
(奇しくも、本書で取り上げるにはうってつけの商標であったわけですが)

まあ、それ以上の詳細は本書をお読み下さい。


本書は、トンデモ特許を多く紹介した名著、「知られざる特殊特許の世界 」と同じジャンル(サブカル系知財本!?)に属する知財本であると思います。

しかしながら、「知られざる特殊特許の世界」の著者の稲森氏が、出願人や発明者に対して逐一インタビューを行い、その特許のバックグラウンドを執拗なまでに掘り起こしていたのに対し、本書は単にへんな商標を紹介するに留まり、そのような関係者への取材等は特にありませんでした。

やはり、稲森氏の著作に慣れ親しんでいる者としては、その点が物足りませんでしたね。

本書の第二弾(へんな商標2)も出版されている様なので、そのへんを期待しながら次作も読んでみようと思います。


へんな商標?
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■関連

知られざる特殊特許の世界
女子大生マイの特許ファイル
勝手に使うな!知的所有権のトンデモ話


 
2011/12/12 (Mon)
知的財産戦略 今回は、ちょっと前に出た話題の新刊、「知的財産戦略」を遅ればせながら紹介します。

著者はご存知、丸島儀一先生!

発売前から知財関係者の間で騒がれていたもんで、自分も発売直後に購入したんですが、なんだかんだと読み終えるのに時間がかかってしまいました。


この本以前の丸島さんの著書としては、「知財、この人にきく」や「キヤノン特許部隊」 があり、本書もこれらの本と根本的な考え(事業に勝つための知財戦略、事業と開発と知財の三位一体など)を同じくしています。

しかし、本書の特徴は、それらを達成するために具体的にどうしたら良いかということを、実務レベルにまで落とし込んで解説しているという点です。

具体的には、社内での知財部門のあり方、知財人材の育成、事業を強くするための知財戦略のあり方、国際標準化戦略、共同開発契約、ライセンス交渉、訴訟対応、国家知財戦略への提言等。

企業の知財実務に関わるほぼ全てトピックが網羅されています。


さらに本書を特徴付けているのが、丸島さんが企業で実務をやっていた時の体験談がふんだんに盛り込まれている点です。

例えば、以下の様。

・当時回避不可能と言われていたゼッロクスのプリンターの特許網を突破し、新方式のプリンターを開発した際の経緯。その後のゼロックス等の米国企業とのライセンス交渉。

・丸島さんが、新人で特許課に配属されて以来、社内に研究開発部門、事業部門、知財部門の三位一体の形成するためにした取り組み。

・パテントトロールのはしりである個人発明家、レメルソンンとのライセンス交渉。

・部品メーカーとの共同開発のアライアンス。

・米国企業から契約違反で訴えられた際の、陪審裁判での被告証言。

この様な丸島さんの体験談が随所に挿入されていることで、各章の理論的なところを実際の業務にまで落とし込み易くなっています。

もちろん、単に読み物としても見ても、この体験談は非常に面白い!
ライセンス交渉において、交渉に圧倒的強みを有する米国企業と互角に渡り合っていく様は、読んでいて熱くなりました。

丸島さんの本を読んだり、講演を聞いたりすると、契約交渉がやりたくなってきますね。


というわけで、知財実務に必要な知識がこれほど網羅的且つ実践的に書かれている本は他に類を見ないと思われます。

まさに、知財実務のバイブル!

知財業務に関わる全ての人間に必携の書です!

■関連

丸島儀一の知的財産戦略
雲を掴め 富士通・IBM秘密交渉
雲の果てに 秘録 富士通・IBM訴訟
下町ロケット
パテントトロール
これからの特許の話をしよう



知的財産戦略
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2011/08/25 (Thu)
下町ロケット 池井戸潤氏の「下町ロケット」です。

本書は、直木賞受賞作品であり、現在書店で盛んに宣伝されています。

特許についても書かれているらしく、特許関係者の間でも話題になっていたので、私も買ってみました。

本書のタイトルから、下町の少年達がロケットを飛ばすために奮闘するロマンチックな青春ストーリーなのかなぁと勝手に想像していましたが、実際は、中小企業の厳しさがひしひしと伝わってくる超リアルな話でした(笑)


あらすじは以下の様。

ロケットエンジンの研究者であった佃は、現在は、父親から引き継いだ佃製作所の社長をしている。

佃製作所は、主にエンジン部品を製造するメーカーで、特に、水素エンジンのキーパーツである水素エンジンバルブの研究開発に力を入れていた。

ある日、佃は、部品の納入先の企業から、取引の打ち切りを一方的に言い渡される。
大口顧客を失い、佃製作所の売り上げが落ち込む中、今度は競業他社であるナカシマ工業から特許訴訟を起こされる。
裁判で多額の資金が必要となるため、銀行に融資を依頼するも、特許訴訟を受けていることに加え、実用化の目処が無い水素エンジンバルブに多額の研究費を使っていることから、融資を断れられてしまう。

手持ち資金から、会社はもって一年。

この様な危機的状況の中、佃製作所はどうなってしまうのか?


本書では、主に社長の佃の視点から話が綴られており、中小企業の経営者がどういうものであるかということをプチ体験できます。

個人的に、本書の見所は、大きく二つあるのではないかと思っています。

一つは、数々の困難に対して、佃がどのような決断を下していくのかということです。

経営者というのは、まさに選択肢の連続!
上記の特許訴訟をはじめ、その後も大きな事件が次々と起こります。
それに伴って、佃は、会社の運命を左右するヘヴィな決断を、次々と迫られることに・・・。

それらは、究極的には、研究開発型企業としての(あるいは一技術者としての)夢を追求するのか、それとも経営者としての合理性をとるのか?ということに帰結するものです。

これが本書のテーマとなっていると思います。

その決断について、佃は、従業員を預かる経営者としての立場と、ロケットへの夢を捨てきれない技術者としての立場との間で揺れ動くことになります。

その苦悩のエッセンスが、以下の佃の言葉に凝縮されています。

「会社とはなにか。なんのために働いているのか。誰のために生きているのかー」

最終的に、佃の決断が効を奏して、大企業相手に奮闘する痛快な展開になるわけですが、仮に自分が佃の立場だったら、どのような決断をするのか?というのを非常に考えさせられました。


もう一つは、恐らく今の日本の現状をリアルに描写していると思われる、中小企業の置かれた環境です。

立場の弱い中小企業に対して、自らの都合を強引に押し付ける大企業のあり方。

資金力の乏しい中小企業に不利な、司法制度。 それを利用して、中小企業の技術を巻き上げようとする大企業。

経営が厳しくなった途端に、融資を打ち切ろうとする銀行。

企業の持つ技術力について正当な評価できる機関があまりにも少ないこと。

佃製作所のような高い技術を有する中小企業が虐げられている現状が、技術立国を目指す日本にとって、本当に良いことなのか?

本書を通じて、筆者からこの様な問題提起がされているように思えてなりません。


色々述べてきましたが、本書は、熱い技術者魂が炸裂する痛快なストーリーであることは間違いありません。

多少なりとも技術に関わったことがある人間なら、本書を読んで熱くならなきゃウソでしょ?!

■関連

パテントトロール
雲を掴め 富士通・IBM秘密交渉
雲の果てに 秘録 富士通・IBM訴訟

下町ロケット
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2011/08/13 (Sat)
これからの特許の話をしよう―奥さまと私の特許講座 (Sanwaセレクション)
ちょっと前に読んだ特許関係の本の感想でも書こうと思います。
黒川正弘氏の「これからの特許の話をしよう」です。

書店でタイトルを見かけて、なんとなく手にとって中身を読んでみたら、あまりにも想像と中身がかけ離れていたもんで、びっくりしました!
間違えて別の本を取ったのかと思って、表紙を見返してしまったほど(笑)

本書は、旦那さん(化学メーカーの知財部勤務)が、晩酌をしながら、奥様に対して特許の話をするという、かなりユニークな形式で書かれています。
そういや、表紙をよく見ると、「奥さまと私の特許講座」と小さく書かれていますね(笑)

で、その内容というのが、ズバリ、「歴史」。

特許制度の歴史を、当時の時代背景も交じえつつ(むしろこっちの方がメイン?)解説するというものです。


本書の前半では、まず、ギリシャ、ローマ時代から、中世ヨーロッパを経て産業革命までの、発明や特許制度について解説しています。

本書によると、特許制度の始まりは、1474年にヴェネツィアで制定された発明者条例で、あのレオナルド・ダ・ヴィンチやガリレオ・ガリレイなんかも特許出願をしていたんだとか。

面白いのが、ガリレオが、あの時代ですでに、特許の本質を捉えていたということです。

ガリレオは、王様に対して、

「苦労して完成させた私の発明が共有財産になるのは嫌だから、私や私の子孫以外の人間が発明を使用したりすることを40年間許さないようにしてくれ。これに違反する者には罰金を課してくれ。そうすれば、私は社会福祉のためにもっと発明をがんばりまっせ」

みたいな趣旨のことを訴えていたそうです。


本書の後半ではアメリカや日本における特許制度の話がメインになります。

アメリカでは、トーマス・ジェファーソンの時代に、特許法が制定されたそうです。

そして、ジェファーソンは、大統領と兼任で初代特許庁長官兼審査官(!)をやってたんだとか!

それから、リンカーン大統領の時代(1865年)にプロパテント政策が導入され、世界大恐慌(1929年)以降は景気対策のためにアンチパテントになります。

そして、レーガン大統領(1980年)から再びプロパテントなったわけですが、2003年のFTC (Federal Trade Commision)から出された報告書において自明性の評価基準を厳しくする必要があるとされたことを契機に、徐々に特許の審査が厳しくなります。
KSR判決以降はその傾向が顕著になり、再度アンチパテントの方向に舵を切ったこと等が述べられています。

日本についても、ビジネスモデル特許ブームが起こったことや、2001年のキルビー判決以降、より審査が厳しくなったことなどが述べられています。


本書は、スタイルこそ奇抜ですが、それとは裏腹に、しっかりとした読み応えがありました。

歴史という大局的な流れの中で特許制度について語っている本は、自分にとって初めてだったので、かなり新鮮でしたね。

この様なバックグラウンドがあって、今の特許実務が行われていることを知っておくのは、意義があることだと思いました。

特許に限らず、物事を深く洞察するためには、歴史って大事ですよね。

最近、ようやく私も実感し始めたところです。


そんなわけで、今日の国内外の特許制度のバックグラウンドが学べて、さらに歴史に対する教養も身に付けられるということで、本書はとてもお勧めです。

最新の法律や特許実務の知識を詰め込むことも大切ですが、たまにはゆっくりと本書のような歴史物を読んで、大局的な視点を養ってみるのも良いのではないでしょうか?


ところで・・・、

実際の筆者の家庭においても、奥様と晩酌をしながら、こんな優雅な会話を交わしているのか?
非常に気になるところです(笑)

■関連
明治の特許維新
知的財産戦略(丸島義一)
女子大生マイの特許ファイル
これからの特許の話をしよう―奥さまと私の特許講座 (Sanwaセレクション)
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