ブログ移転しました!→ 知財部員を辞めた人のブログ < http://ume-patent.com >
社会人7年目の知財担当者がつづるブログです!2012年に大手メーカーの知財部からIT系企業の法務部に転職。知財担当者の日常や知財実務、書評、キャリアプラン等が主なネタ。
プロフィール
UME(管理人)
某IT系企業の知財担当者。
社会人7年目(2013年現在)。
学生時代に一念発起して、弁理士の勉強を開始し、翌年、見事合格!
さらに翌年、大手電気メーカーの知財部に就職し、特許権利化を約5年間担当。
2012年、新天地を目指して、IT系企業の法務部に転職!
このブログを通して、知財部員の生き様が垣間見えれば幸いです。
ご意見、ご感想、相互リンクの申し出などお気軽にご連絡下さい!
(なお、確認するまで時間がかかるおそれがあるので、直にブログにコメントして頂いた方が確実です。)
e-mail:tizaibunositappa■yahoo.co.jp
(■に@を入れて下さい)
■twilog
某IT系企業の知財担当者。
社会人7年目(2013年現在)。
学生時代に一念発起して、弁理士の勉強を開始し、翌年、見事合格!
さらに翌年、大手電気メーカーの知財部に就職し、特許権利化を約5年間担当。
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2011/08/13 (Sat)
ちょっと前に読んだ特許関係の本の感想でも書こうと思います。
黒川正弘氏の「これからの特許の話をしよう」です。
書店でタイトルを見かけて、なんとなく手にとって中身を読んでみたら、あまりにも想像と中身がかけ離れていたもんで、びっくりしました!
間違えて別の本を取ったのかと思って、表紙を見返してしまったほど(笑)
本書は、旦那さん(化学メーカーの知財部勤務)が、晩酌をしながら、奥様に対して特許の話をするという、かなりユニークな形式で書かれています。
そういや、表紙をよく見ると、「奥さまと私の特許講座」と小さく書かれていますね(笑)
で、その内容というのが、ズバリ、「歴史」。
特許制度の歴史を、当時の時代背景も交じえつつ(むしろこっちの方がメイン?)解説するというものです。
本書の前半では、まず、ギリシャ、ローマ時代から、中世ヨーロッパを経て産業革命までの、発明や特許制度について解説しています。
本書によると、特許制度の始まりは、1474年にヴェネツィアで制定された発明者条例で、あのレオナルド・ダ・ヴィンチやガリレオ・ガリレイなんかも特許出願をしていたんだとか。
面白いのが、ガリレオが、あの時代ですでに、特許の本質を捉えていたということです。
ガリレオは、王様に対して、
「苦労して完成させた私の発明が共有財産になるのは嫌だから、私や私の子孫以外の人間が発明を使用したりすることを40年間許さないようにしてくれ。これに違反する者には罰金を課してくれ。そうすれば、私は社会福祉のためにもっと発明をがんばりまっせ」
みたいな趣旨のことを訴えていたそうです。
本書の後半ではアメリカや日本における特許制度の話がメインになります。
アメリカでは、トーマス・ジェファーソンの時代に、特許法が制定されたそうです。
そして、ジェファーソンは、大統領と兼任で初代特許庁長官兼審査官(!)をやってたんだとか!
それから、リンカーン大統領の時代(1865年)にプロパテント政策が導入され、世界大恐慌(1929年)以降は景気対策のためにアンチパテントになります。
そして、レーガン大統領(1980年)から再びプロパテントなったわけですが、2003年のFTC (Federal Trade Commision)から出された報告書において自明性の評価基準を厳しくする必要があるとされたことを契機に、徐々に特許の審査が厳しくなります。
KSR判決以降はその傾向が顕著になり、再度アンチパテントの方向に舵を切ったこと等が述べられています。
日本についても、ビジネスモデル特許ブームが起こったことや、2001年のキルビー判決以降、より審査が厳しくなったことなどが述べられています。
本書は、スタイルこそ奇抜ですが、それとは裏腹に、しっかりとした読み応えがありました。
歴史という大局的な流れの中で特許制度について語っている本は、自分にとって初めてだったので、かなり新鮮でしたね。
この様なバックグラウンドがあって、今の特許実務が行われていることを知っておくのは、意義があることだと思いました。
特許に限らず、物事を深く洞察するためには、歴史って大事ですよね。
最近、ようやく私も実感し始めたところです。
そんなわけで、今日の国内外の特許制度のバックグラウンドが学べて、さらに歴史に対する教養も身に付けられるということで、本書はとてもお勧めです。
最新の法律や特許実務の知識を詰め込むことも大切ですが、たまにはゆっくりと本書のような歴史物を読んで、大局的な視点を養ってみるのも良いのではないでしょうか?
ところで・・・、
実際の筆者の家庭においても、奥様と晩酌をしながら、こんな優雅な会話を交わしているのか?
非常に気になるところです(笑)
■関連
・明治の特許維新
・知的財産戦略(丸島義一)
・女子大生マイの特許ファイル
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黒川正弘氏の「これからの特許の話をしよう」です。
書店でタイトルを見かけて、なんとなく手にとって中身を読んでみたら、あまりにも想像と中身がかけ離れていたもんで、びっくりしました!
間違えて別の本を取ったのかと思って、表紙を見返してしまったほど(笑)
本書は、旦那さん(化学メーカーの知財部勤務)が、晩酌をしながら、奥様に対して特許の話をするという、かなりユニークな形式で書かれています。
そういや、表紙をよく見ると、「奥さまと私の特許講座」と小さく書かれていますね(笑)
で、その内容というのが、ズバリ、「歴史」。
特許制度の歴史を、当時の時代背景も交じえつつ(むしろこっちの方がメイン?)解説するというものです。
本書の前半では、まず、ギリシャ、ローマ時代から、中世ヨーロッパを経て産業革命までの、発明や特許制度について解説しています。
本書によると、特許制度の始まりは、1474年にヴェネツィアで制定された発明者条例で、あのレオナルド・ダ・ヴィンチやガリレオ・ガリレイなんかも特許出願をしていたんだとか。
面白いのが、ガリレオが、あの時代ですでに、特許の本質を捉えていたということです。
ガリレオは、王様に対して、
「苦労して完成させた私の発明が共有財産になるのは嫌だから、私や私の子孫以外の人間が発明を使用したりすることを40年間許さないようにしてくれ。これに違反する者には罰金を課してくれ。そうすれば、私は社会福祉のためにもっと発明をがんばりまっせ」
みたいな趣旨のことを訴えていたそうです。
本書の後半ではアメリカや日本における特許制度の話がメインになります。
アメリカでは、トーマス・ジェファーソンの時代に、特許法が制定されたそうです。
そして、ジェファーソンは、大統領と兼任で初代特許庁長官兼審査官(!)をやってたんだとか!
それから、リンカーン大統領の時代(1865年)にプロパテント政策が導入され、世界大恐慌(1929年)以降は景気対策のためにアンチパテントになります。
そして、レーガン大統領(1980年)から再びプロパテントなったわけですが、2003年のFTC (Federal Trade Commision)から出された報告書において自明性の評価基準を厳しくする必要があるとされたことを契機に、徐々に特許の審査が厳しくなります。
KSR判決以降はその傾向が顕著になり、再度アンチパテントの方向に舵を切ったこと等が述べられています。
日本についても、ビジネスモデル特許ブームが起こったことや、2001年のキルビー判決以降、より審査が厳しくなったことなどが述べられています。
本書は、スタイルこそ奇抜ですが、それとは裏腹に、しっかりとした読み応えがありました。
歴史という大局的な流れの中で特許制度について語っている本は、自分にとって初めてだったので、かなり新鮮でしたね。
この様なバックグラウンドがあって、今の特許実務が行われていることを知っておくのは、意義があることだと思いました。
特許に限らず、物事を深く洞察するためには、歴史って大事ですよね。
最近、ようやく私も実感し始めたところです。
そんなわけで、今日の国内外の特許制度のバックグラウンドが学べて、さらに歴史に対する教養も身に付けられるということで、本書はとてもお勧めです。
最新の法律や特許実務の知識を詰め込むことも大切ですが、たまにはゆっくりと本書のような歴史物を読んで、大局的な視点を養ってみるのも良いのではないでしょうか?
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これからの特許の話をしよう―奥さまと私の特許講座 (Sanwaセレクション)
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