ブログ移転しました!→ 知財部員を辞めた人のブログ < http://ume-patent.com >
社会人7年目の知財担当者がつづるブログです!2012年に大手メーカーの知財部からIT系企業の法務部に転職。知財担当者の日常や知財実務、書評、キャリアプラン等が主なネタ。
プロフィール
UME(管理人)
某IT系企業の知財担当者。
社会人7年目(2013年現在)。
学生時代に一念発起して、弁理士の勉強を開始し、翌年、見事合格!
さらに翌年、大手電気メーカーの知財部に就職し、特許権利化を約5年間担当。
2012年、新天地を目指して、IT系企業の法務部に転職!
このブログを通して、知財部員の生き様が垣間見えれば幸いです。
ご意見、ご感想、相互リンクの申し出などお気軽にご連絡下さい!
(なお、確認するまで時間がかかるおそれがあるので、直にブログにコメントして頂いた方が確実です。)
e-mail:tizaibunositappa■yahoo.co.jp
(■に@を入れて下さい)
■twilog
某IT系企業の知財担当者。
社会人7年目(2013年現在)。
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2011/08/25 (Thu)
池井戸潤氏の「下町ロケット」です。
本書は、直木賞受賞作品であり、現在書店で盛んに宣伝されています。
特許についても書かれているらしく、特許関係者の間でも話題になっていたので、私も買ってみました。
本書のタイトルから、下町の少年達がロケットを飛ばすために奮闘するロマンチックな青春ストーリーなのかなぁと勝手に想像していましたが、実際は、中小企業の厳しさがひしひしと伝わってくる超リアルな話でした(笑)
あらすじは以下の様。
ロケットエンジンの研究者であった佃は、現在は、父親から引き継いだ佃製作所の社長をしている。
佃製作所は、主にエンジン部品を製造するメーカーで、特に、水素エンジンのキーパーツである水素エンジンバルブの研究開発に力を入れていた。
ある日、佃は、部品の納入先の企業から、取引の打ち切りを一方的に言い渡される。
大口顧客を失い、佃製作所の売り上げが落ち込む中、今度は競業他社であるナカシマ工業から特許訴訟を起こされる。
裁判で多額の資金が必要となるため、銀行に融資を依頼するも、特許訴訟を受けていることに加え、実用化の目処が無い水素エンジンバルブに多額の研究費を使っていることから、融資を断れられてしまう。
手持ち資金から、会社はもって一年。
この様な危機的状況の中、佃製作所はどうなってしまうのか?
本書では、主に社長の佃の視点から話が綴られており、中小企業の経営者がどういうものであるかということをプチ体験できます。
個人的に、本書の見所は、大きく二つあるのではないかと思っています。
一つは、数々の困難に対して、佃がどのような決断を下していくのかということです。
経営者というのは、まさに選択肢の連続!
上記の特許訴訟をはじめ、その後も大きな事件が次々と起こります。
それに伴って、佃は、会社の運命を左右するヘヴィな決断を、次々と迫られることに・・・。
それらは、究極的には、研究開発型企業としての(あるいは一技術者としての)夢を追求するのか、それとも経営者としての合理性をとるのか?ということに帰結するものです。
これが本書のテーマとなっていると思います。
その決断について、佃は、従業員を預かる経営者としての立場と、ロケットへの夢を捨てきれない技術者としての立場との間で揺れ動くことになります。
その苦悩のエッセンスが、以下の佃の言葉に凝縮されています。
「会社とはなにか。なんのために働いているのか。誰のために生きているのかー」
最終的に、佃の決断が効を奏して、大企業相手に奮闘する痛快な展開になるわけですが、仮に自分が佃の立場だったら、どのような決断をするのか?というのを非常に考えさせられました。
もう一つは、恐らく今の日本の現状をリアルに描写していると思われる、中小企業の置かれた環境です。
立場の弱い中小企業に対して、自らの都合を強引に押し付ける大企業のあり方。
資金力の乏しい中小企業に不利な、司法制度。 それを利用して、中小企業の技術を巻き上げようとする大企業。
経営が厳しくなった途端に、融資を打ち切ろうとする銀行。
企業の持つ技術力について正当な評価できる機関があまりにも少ないこと。
佃製作所のような高い技術を有する中小企業が虐げられている現状が、技術立国を目指す日本にとって、本当に良いことなのか?
本書を通じて、筆者からこの様な問題提起がされているように思えてなりません。
色々述べてきましたが、本書は、熱い技術者魂が炸裂する痛快なストーリーであることは間違いありません。
多少なりとも技術に関わったことがある人間なら、本書を読んで熱くならなきゃウソでしょ?!
■関連
・パテントトロール
・雲を掴め 富士通・IBM秘密交渉
・雲の果てに 秘録 富士通・IBM訴訟
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本書は、直木賞受賞作品であり、現在書店で盛んに宣伝されています。
特許についても書かれているらしく、特許関係者の間でも話題になっていたので、私も買ってみました。
本書のタイトルから、下町の少年達がロケットを飛ばすために奮闘するロマンチックな青春ストーリーなのかなぁと勝手に想像していましたが、実際は、中小企業の厳しさがひしひしと伝わってくる超リアルな話でした(笑)
あらすじは以下の様。
ロケットエンジンの研究者であった佃は、現在は、父親から引き継いだ佃製作所の社長をしている。
佃製作所は、主にエンジン部品を製造するメーカーで、特に、水素エンジンのキーパーツである水素エンジンバルブの研究開発に力を入れていた。
ある日、佃は、部品の納入先の企業から、取引の打ち切りを一方的に言い渡される。
大口顧客を失い、佃製作所の売り上げが落ち込む中、今度は競業他社であるナカシマ工業から特許訴訟を起こされる。
裁判で多額の資金が必要となるため、銀行に融資を依頼するも、特許訴訟を受けていることに加え、実用化の目処が無い水素エンジンバルブに多額の研究費を使っていることから、融資を断れられてしまう。
手持ち資金から、会社はもって一年。
この様な危機的状況の中、佃製作所はどうなってしまうのか?
本書では、主に社長の佃の視点から話が綴られており、中小企業の経営者がどういうものであるかということをプチ体験できます。
個人的に、本書の見所は、大きく二つあるのではないかと思っています。
一つは、数々の困難に対して、佃がどのような決断を下していくのかということです。
経営者というのは、まさに選択肢の連続!
上記の特許訴訟をはじめ、その後も大きな事件が次々と起こります。
それに伴って、佃は、会社の運命を左右するヘヴィな決断を、次々と迫られることに・・・。
それらは、究極的には、研究開発型企業としての(あるいは一技術者としての)夢を追求するのか、それとも経営者としての合理性をとるのか?ということに帰結するものです。
これが本書のテーマとなっていると思います。
その決断について、佃は、従業員を預かる経営者としての立場と、ロケットへの夢を捨てきれない技術者としての立場との間で揺れ動くことになります。
その苦悩のエッセンスが、以下の佃の言葉に凝縮されています。
「会社とはなにか。なんのために働いているのか。誰のために生きているのかー」
最終的に、佃の決断が効を奏して、大企業相手に奮闘する痛快な展開になるわけですが、仮に自分が佃の立場だったら、どのような決断をするのか?というのを非常に考えさせられました。
もう一つは、恐らく今の日本の現状をリアルに描写していると思われる、中小企業の置かれた環境です。
立場の弱い中小企業に対して、自らの都合を強引に押し付ける大企業のあり方。
資金力の乏しい中小企業に不利な、司法制度。 それを利用して、中小企業の技術を巻き上げようとする大企業。
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