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ブログ移転しました!→ 知財部員を辞めた人のブログ < http://ume-patent.com > 社会人7年目の知財担当者がつづるブログです!2012年に大手メーカーの知財部からIT系企業の法務部に転職。知財担当者の日常や知財実務、書評、キャリアプラン等が主なネタ。
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プロフィール
c302f6a6.jpg UME(管理人)

某IT系企業の知財担当者。
社会人7年目(2013年現在)。
学生時代に一念発起して、弁理士の勉強を開始し、翌年、見事合格!
さらに翌年、大手電気メーカーの知財部に就職し、特許権利化を約5年間担当。
2012年、新天地を目指して、IT系企業の法務部に転職!
このブログを通して、知財部員の生き様が垣間見えれば幸いです。

ご意見、ご感想、相互リンクの申し出などお気軽にご連絡下さい!
(なお、確認するまで時間がかかるおそれがあるので、直にブログにコメントして頂いた方が確実です。)
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2011/02/08 (Tue)
パテントトロール―特許マフィアに狙われた日本企業の行方 今日紹介するのは、「パテントトロール~特許マフィアに狙われた日本企業の行方~」です。

著者は、石橋秀喜氏。

本書はその名の通り、パテントトロールを題材にした小説です。

トロールを題材とした本としては、「死蔵特許」がありますが、死蔵特許はJPEG特許にまつわる実話だったのに対して、本書はフィクションです。
(といつつも、本書で出てくるアルデスタ電気は、筆者が在籍していたアルプス電気がモデルになっている様ですが。)


本書のあらすじは以下の様。

アルデスタ電気は、カーナビを主力事業とする大手電気メーカー。

ある部品メーカーが破産し、カーナビに関する基本的な特許が、特許流通会社パテントマーケティングに渡ってしまったことから事件は始まる。

パテントマーケティングは、その特許に基づき、アルデスタ電気を含むカーナビメーカー数社を提訴。

結局、アルデスタ電気はパテントマーケティングと和解することになるが、それは特許マフィアの狡猾な作戦の始まりに過ぎなかった・・・。

想定外の行動をとるパテントマーケティング。
翻弄されるアルデスタ電気。
動き出す米国の特許流通会社。
疑われる内通者の存在。

果たして、アルデスタ電気は特許マフィアの食い物にされてしまうのか?
そして、特許流通会社を陰で操りながら暗躍する黒幕の正体とは・・・?


本書では、トロールの側と、それに脅かされるアルデスタ電気の側の登場人物の両方の視点からストーリーが展開されます。

トロールのやり口やそれに対する日本企業の反応、さらには知財部内の緊迫した雰囲気等は、かなりリアルに描写されていると思います。

まあ、さすがに、最後のオチは小説としてのエンターテイメント性を優先したかなってかんじでしたが(笑)


トロールがどういう風に攻めてくるのかやそれに対してどういう措置を取ったらいいのかがシミュレートできるし、単純に読み物としてもおもしろいです。

特許小説としては、ピカイチ!
おすすめです!

■関連
死蔵特許
雲を掴め 富士通・IBM秘密交渉
雲の果てに 秘録 富士通・IBM訴訟

パテントトロール―特許マフィアに狙われた日本企業の行方
石橋 秀喜
タイトル
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2011/01/22 (Sat)
発明のコモンズ〜サービスイノベーションとオープンイノベーションを促進するための知的財産制度〜 (創成社新書44) 最近読んだ本の書評でもしたいと思います。

著者は、文教大学の幡鎌博氏。

本書で述べられている主張は、ズバリ、「現行の特許制度を廃止し、発明を共有できるようにしよう!」というものです。

まず、本書では、現行の特許制度が、結果として産業の発展を抑制しているということが述べられています。

つまり、特許は独占権であり、特許を持っている企業以外は、発明の改良よりも回避に頭を使う。
結果として、イノベーションは特許を持っている企業の中だけに限定されてしまい、社会全体でのイノベーションという観点からは、非常に効率が悪くなっているというものです。

また、近年問題となっているパテントトロールやインベンションキャピタルの存在も、特許に与えられる権利が強すぎることが原因となっています。

そこで、本書では、特許法に代わる制度として、発明のコモンズが提唱されています。
これは、①知識共有のためのインフラストラクチャーを作る、②先行者が優位になる様な制度を設ける、③パテントプールに強制的に参加することを制度化し、発明の社会的貢献度から対価を得られるようにするというものです。


本書を読んで、個人的には、以下のように思いました。

たしかに、コモンズは、ネットを介して様々な人が共同的に作業をすることができる、ソフトウェアには相性がいい制度です。
しかし、他の分野(化学、機械、電気)においては、その様なやり方は難しいし、文章化できないノウハウ的な部分もある程度あるので、制度として合わないのではないか?
だから、いくらコモンズにしたからといって、ソフトウェア以外の分野でイノベーションが進むとはあまり思えません。

ただ、トロールの問題はあるので、現状よりも特許権の効力を弱める(差止制度の廃止など)様にしていく必要はあるのかなと思います。
逆に言えば、それをうまくやれば、現行の特許制度で十分であり、発明コモンズに移行するメリットは無いんじゃないかという気がします。
もしくは、発明の定義からソフトウェアを外して、ソフトウェアの発明のみをコモンズで保護するとか・・・。

とはいえ、世の中にコモンズという考え方があり、その方向に動きつつあるということは、意識しておくべきだと思います。
実際に、2007年に欧州特許庁が書いた未来予測のシナリオの中の一つには、2025年までに特許制度が廃止になるという予測があるそうです。

仮にそうなったときに、我々知財関係者の仕事はどうなってしまうのか?

一つのリスクとして頭に置いておくべきですね。
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2010/12/15 (Wed)
女子大生マイの特許ファイル ついにきました!
稲森謙太郎氏の最新作、「女子大生マイの特許ファイル」です!

特殊特許の世界」を読んで、稲森氏のファンになったのですが、前作の発売からだいぶ期間が空いており、新作を待ちわびていました。

そんな折に、書店の特許コーナーを徘徊していると、偶然本書を発見したのです。
もちろん、即行でカウンターに持って行ったのは言うまでもありません(笑)

今回はなんとノベル風(!)になっており、特許に興味を持っている女子大生のマイと一緒に、特許制度を一通り学習できるという内容になっています。

本書では、特許制度の説明のための題材として、稲森氏の十八番であるおもしろ特許(内容がぶっ飛んでいたり、発明者が意外な有名人だったりする特許)が挙げられています。

山中教授のiPS細胞の特許に始まり、管直人が発明した麻雀の点数計算機、果てには、三洋電機が出した有料老人ホームの運営方法(!)など、様々な特許を題材としています。

その他にも、孫正義、ホリエモン、所ジョージ、中村修二、ドクター・中松など、「この人が!」と思われるような著名人が発明者となっている特許が!

特許には全く縁の無い人でも、楽しく特許制度を学習できる内容になっています。


そして、この本において、何よりも特筆すべきは、発明者への非常に丁寧なインタビューに裏付けられた、発明のバックグラウンドです。
この部分が、非常におもしろい!
発明者の素性やその発明に至った背景が詳細に語られており、非常に興味深いです。

この様に、本書で紹介されている特許の多くは、(おそらく氏が自らが)発明者に対して取材が行われており、おもしろ特許に対する稲森氏の並々ならぬ情熱が伝わってきます(笑)


普段の仕事(特許明細書の作成とか)をやっていく中で完全に忘れ去っていましたが、発明とは本来、おもしろくてわくわくするものなんだなぁということを改めて感じさせられました。

願わくば、普段私が接している「発明」も、この様であって欲しいものです・・・。

女子大生マイの特許ファイル
稲森 謙太郎
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■関連
知られざる特殊特許の世界
勝手に使うな!知的所有権のトンデモ話

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2010/03/03 (Wed)
死蔵特許―技術経営における新たな脅威:Patent Hoarding訴訟 先日読んだ「知財の利回り」と一緒に、Amazonでおすすめされていたので、買ってみました。

本書では、権利として生きているにもかかわらず発明者や権利者にその存在を忘れられている特許を「死蔵特許」と称し、それによって引き起こされるパテントトロール問題について警鐘を鳴らしています。

その事例として本書でハイライトされているのが、米国特許第4698672号、通称、JPEG特許に関する事件です。

JPEG特許は、元はテレビ電話システムを開発するまっとうな事業会社であったVTELが保有するものでした。
といっても、その特許は長い間忘れ去られ、死蔵特許となっていました。

ところが、権利満了の直前になって、その存在が再発見されます。
そして、VTELを前身とするフォージェントは、JPEG特許を活用してライセンス料をせしめるビジネスプランを展開することを決断します。
つまり、フォージェントはパテントトロール化してしまったのです。

これによって、ソニー等の、当時すでに標準化されていたJPEGを用いる企業は、軒並みフォージェントのターゲットになってしまいます。
(なお、このJPEG特許は、JPEGの標準化を進める際に問題視されていたにも関わらず、放置された。)


そこらへんの詳しい経緯は本書を参照して頂くとして、本書を読んで考えさせられるのが、パテントトロールすらも許容する米国のプロパテントの在り方です。
(まあ、最近では、米国はアンチパテントの方向にシフトしつつあるとも言われていますが。)

確かに、eBay判決以降、米国では事業実施をしていない特許権者の差止請求は認められにくくなりました。
しかし、依然高額な損害賠償が請求される可能性は残っており、トロールが企業にとってやっかいなものであることには変わりありません。

トロールであると認定された権利主体には、特許権の権利行使全般を認めないという考え方もできますが、今度は何をもってトロールだと認定するのか?という問題が出てきます。

とすると、損害賠償額が高くなり過ぎないように法律を改正するのが一番現実的だという気がしてきます。
(日本国内でトロールが発生しないのは、これが理由であるはずです。)


今後も、JPEG特許のような問題が、標準化の際に起こってくる可能性があります。
そこには、特許制度の在り方という根本的な問題が問われているのかもしれません。
■関連
パテントトロール~特許マフィアに狙われた日本企業の行方~
知財の利回り
IVは何を目指しているか?
雲を掴め 富士通・IBM秘密交渉
雲の果てに 秘録 富士通・IBM訴訟
マルナゲ―企業特許の真実

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4 メーカーがパテント・トロール専業になった事例として興味深い
5 パテントトロールの7つの発生原因が理解できる
 
2010/02/05 (Fri)
知財の利回り 知財と投資を結びつけたビジネスモデルを創り上げたパイオニアであり、2008年には日本オフィスを開設したインテレクチャル・ベンチャーズ(以下、IV)。

本書は、IV創設者のひとりであるエドワード・ジュング氏や、丸島儀一さんなどの知財の専門家へのインタヴューを通じて、IVの実態を浮かび上がらせようとした意欲作です。

私は、IVの名前くらいは聞いたことがありましたが、ここまでユニークなことをしているとは知りませんでした。
知財関連の本としては、久々におもしろい!と感じましたね。


本書によれば、IVがいかなる会社であるのかについては、未だに専門家の間でも見解が分かれている状況です。
斬新なビジネスモデルが評価される一方で、高度なパテントトロールであると警告を促す人もいます。
果てには、マイクロソフトの別働隊であるという憶測まで飛び出しています。(創設者のネイサン・ミアボルト氏とエドワード・ジュング氏は共にマイクロソフト出身)

それぞれの専門家がIVをどう捉えているのかについては本書を読んで頂くとして、IVが他の知財仲介会社やトロールと一線を画す存在であることは確かなようです。
それは、IVがノーベル賞級の専門家を社員として擁しており、自社で発明を生産することが可能であるという点です。
どうやら、そこにIVの本質があるようです。

本書は、さらに中国の標準化戦略や米国の特許法改正などにも言及しています。
IVを含めた世界の知財のトレンドがどこに向かっているのか?
それを読み解く上で、本書は必携の書であるといえます。

■関連
IVは何を目指しているか?
死蔵特許
雲を掴め 富士通・IBM秘密交渉
雲の果てに 秘録 富士通・IBM訴訟
マルナゲ―企業特許の真実

知財の利回り
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4 インベンション・キャピタルは定着するのか?
 
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2009/02/15 (Sun)
雲の果てに―秘録 富士通・IBM訴訟 久々に書評でもしてみようってことで、「雲の果てに」を紹介します!
(実は、昨年末の時点で購入していたのですが、読む機会を逃して、本棚に積んでました・・・)

前作の「雲を掴め」は、富士通とIBMの交渉の舞台裏をつづった意欲作でしたが、本書はそれの続編にあたります。

→ 雲を掴め(書評)

IBMとの壮絶な交渉がようやくまとまり、互換ソフトウェア開発をさらに展開させようと意気込む富士通。
しかし、一旦落ち着いたかに見えたIBMとの紛争が、徐々に再燃し始めます。
決定的な対立を回避しようと、主人公の伊集院は東奔西走しますが、ついにこの争いがAAA(American Arbitration Association )による仲裁訴訟に持ち込まれます。

果たして富士通はビジネスを継続することができるのか?

前作以上のスケールの大きさと、胃が軋むような緊張感を伴ったストーリーに圧倒されます。
さすが、本書の帯に書いてる、「雲を掴めは序章に過ぎなかった!」という謳い文句は、伊達ではありません!

本書で一番印象に残ったのは、伊集院をはじめとする富士通社員の壮絶な働きぶりですね。
登場人物が次々と過労で倒れたり入院したりします。
それでも、なお、病院のベッドの上で仕事をやろうとする・・・。
今の時代に、これ程会社のために情熱を持って働くことができる人間が何人いるでしょうか?
このような人間ドラマ的な部分も、本書の見逃せないところです。

物語の最後に、グーグルとマイクロソフトの争いに触れ、グーグルが開発中のアンドロイドがマイクロソフトの脅威となっていると著者は述べています。
そして、インタフェースや互換などがこの戦いの争点になるだろうとも。
つまり、時代の先端を行くIT企業同士の争いの本質は、富士通とIBMの争いの時代から何ら変わっていないというのです!
う~ん、深い・・・。

契約、交渉に携わる人間のみならず、全てのビジネスマンに対して、前作と併せて本書を読まれることをお勧めします。
交渉テクニックや契約の心構え、果てには企業のあり方、国の政策、今後のIT企業の動向等に非常に多くの示唆を与えてくれる素晴らしい本です。

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雲を掴め 富士通・IBM秘密交渉
マルナゲ―企業特許の真実
知財の利回り
死蔵特許

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5 事業管理部長(コントローラ)の理想像
4 かってのIBMとかっての富士通の知財戦争
4 引き際の美学
 
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