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ブログ移転しました!→ 知財部員を辞めた人のブログ < http://ume-patent.com > 社会人7年目の知財担当者がつづるブログです!2012年に大手メーカーの知財部からIT系企業の法務部に転職。知財担当者の日常や知財実務、書評、キャリアプラン等が主なネタ。
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プロフィール
c302f6a6.jpg UME(管理人)

某IT系企業の知財担当者。
社会人7年目(2013年現在)。
学生時代に一念発起して、弁理士の勉強を開始し、翌年、見事合格!
さらに翌年、大手電気メーカーの知財部に就職し、特許権利化を約5年間担当。
2012年、新天地を目指して、IT系企業の法務部に転職!
このブログを通して、知財部員の生き様が垣間見えれば幸いです。

ご意見、ご感想、相互リンクの申し出などお気軽にご連絡下さい!
(なお、確認するまで時間がかかるおそれがあるので、直にブログにコメントして頂いた方が確実です。)
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2008/11/02 (Sun)
雲を掴め―富士通・IBM秘密交渉 今日紹介するのが、「雲を掴め 富士通・IBM秘密交渉」です。
著者の伊集院丈氏は、当時(1982年頃)の富士通の海外事業部長であり、このIBMとの紛争の中心人物として交渉や訴訟に取り組まれた方です。

本書によれば、富士通とIBMの紛争が起こった当時は、IBMのコンピューターが市場を圧巻しており、日本のメーカー(富士通や日立など)はそれを追随する立場にいました。
そんな中、富士通がIBM互換ソフトウェアを発売したことが契機となります。
富士通のソフトがIBMのソフトのコピーがあるとして、IBMが抗議を申し立てたのです。
こうして、IBMとの長い交渉が始まったのでした。

また、当時はプログラムがまだ特許で保護されていない時代でした。
プログラムを著作権で保護するか、あるいはプログラム権というものを新設するかで揺れており、訴訟の動向次第では、立法に影響を与える可能性すらあったのです。


本書の見せ場は何と言っても、IBMとの交渉の場面です。
当事者が書いているだけあって、IBM側とのやり取りが非常に生々しい!
筆者があとがきに書いている様に、まさに「目的あり、意味の無い議論あり、駆け引きあり、ユーモアあり、感情あり、裏切りあり、友情あり」です。

交渉というのは、決してロジックだけで勝負できるようなものではなく、人間としてのあらゆる面が試されるものなんだなと感じました。
何故ならば、交渉とは結局、人と人とのやり取りに還元されるものだからです。
本書の伊集院のように、人間的魅力こそが最大の武器になるのではないかと思いました。


本書を読んで、伝説的とも言えるこの交渉を追体験することは、非常に意義があると思います。
20年以上前の事件ですが、ここから得られる教訓は、そのまま現在に活かせるでしょう。

■関連
パテントトロール~特許マフィアに狙われた日本企業の行方~
雲の果てに 秘録 富士通・IBM訴訟
マルナゲ―企業特許の真実
知財の利回り
死蔵特許

雲を掴め―富士通・IBM秘密交渉
伊集院 丈
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 53353
 
おすすめ度の平均: 4.0
2 交渉術の本と読むと良いが知的財産の本としては
4 当時の状況を知るにはよい
3 小説の一歩手前?
3 50代以上の富士通関係者向けに送った経緯報告書
3 他人のフンドシでは相撲は取れない
 
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2008/09/09 (Tue)
そのブログ!「法律違反」です 知らなかったではすまない知的財産権のルール (ソフトバンク新書 66) 書店でタイトルに引かれたので、買ってみました。

本書では、日常生活で起こりうる知的財産のトラブルを取り上げ、クイズ形式で解説しています。
一般向けに書かれており、非常に読みやすいですね。
特に第1章は、ブログなどのネットに関する非常に身近なトピックで、おもしろいです。
私もブログをやっている人間なので、知らず知らずのうちに著作権を侵害しないように気を付けないとなぁと思いました。


タイトルからして著作権オンリーの内容かと思いきや、特許や意匠、商標なども一通り取り上げられています。
ただ、特許がらみの問題は、解説が微妙な箇所がいくつかありました。

例えば、「ゲームのコインを入れると五百円玉そっくりのコインが出てくるマジックの装置について、特許がとれるか?」という問題です。
本書では、このような発明は公序良俗違反(特許法32条)であるため、特許は取れないとしています。
しかし、これではあまりに硬直的な判断だと思います。
例えば、発明を上位概念化してコインを別のものに変えるという思想を発明にすれば、簡単に解決できそうですからね。

もう一つ挙げると、「他人のブログに掲載されている発明を特許出願しても大丈夫か?」という問題に対して解答を○にしてますが、これは明らかに冒認出願です。(※1)


と、そういう箇所もありますが、全体的に興味深いトピックが多く、一気に読み切ってしまいました。
ネットを通じて個人が情報発信をすることができる現代において、誰もが知的財産権を侵害し、侵害される恐れがありますからね。
そういう意味で、幅広い人に勧められる本だと思います。

※1 発明者でなく、特許を受ける権利を有するものが特許出願をすること。このような出願は拒絶理由及び無効理由を有することになる。

そのブログ!「法律違反」です 知らなかったではすまない知的財産権のルール (ソフトバンク新書)
早坂 昌彦 石塚 秀俊 前岨 博
ソフトバンククリエイティブ
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おすすめ度の平均: 3.5
4 コンパクトながら幅広な内容でわかりやすい
2 読みやすい知的財産権の入門書でした
3 Q&A形式の知財入門
2 タイトルと内容が一致していないかな
3 知財ルールの入門本
 
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2008/08/29 (Fri)
ちょっと昔に読んだ本です。知財革命 (角川oneテーマ21)
 著者は元特許庁長官の荒井寿光氏。
退官後も、内閣官房知的財産戦略推進事務局長を歴任し、世界知的所有権機関(WIPO)政策委員、東京理科大学客員教授も務めている方です。

本書は、日本における知的財産の状況、問題、産学官の取り組みなどが網羅的に書かれています。

本書を読んで特に感じたのが、知財は世界戦略でなければならいということです。
日本だけでなく海外にも目を向けなければ、良い知財戦略をとることはできません。
携帯電話やハイビジョンの世界標準化の失敗は、まさにこれを端的に表しているでしょう。

本書は「知財革命」として、法律などの知財のインフラ整備と人材育成を行い、ひいては日本が世界一の知財立国になるという筆者の願いが込められています。

日本における知財の現状を理解するのに良い本だと思います。

知財革命 (角川oneテーマ21)
荒井 寿光
角川グループパブリッシング
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2008/08/02 (Sat)
マルナゲ―企業特許の真実 oji弁理士の日常というブログで紹介されているのを見て、気になって買った本です。

この本は、ある意味すごい・・・。

これを読んだ実務家の反応は2つに分かれると思います。
日本の特許実務家全員をこき下ろすような内容に激怒するか、特許実務上の問題点を無茶苦茶なまでに誇張した文章に苦笑するかです。
まあ、私は後者の方でしたが。

ストーリーは、小里電気という会社が米国のパテントとロールから特許侵害の警告を受けるところからはじまります。
小里電気側も特許で対抗しようとしますが、明細書が粗悪であるために使い物にならず、結局泣き寝入りするハメに・・・。
その後も中国で模倣品が大量に作られるという事態が起き、小里電気の知財部を中心として次々と問題が浮き彫りになっていくというものです。

この本の至る所で、知財関係者はボロクソに書かれています。
知財部員は発明提案書を事務所にマルナゲするだけの無能。
特許事務所は粗悪な明細書を大量生産しつつ、知財部員をキャバクラで接待付けにする悪徳業者。

挙句の果てには、特許明細書の内容が意味不明なのは、裁判所のどっち着かずの判決文が原因で、それには

「日本の文化の原点ともいうべき、農耕民族の生き方の共生という、民族の血のようなものが、日本の知財のメカニズムにも生きている」(原文のまま)

からだというわけの分からないことが書いてある始末です。
そりゃあ、現実にこんなことが全く無いと言ったらウソになりますが、あまりにも誇張しすぎですよねぇ・・・。


余談ですが、この本は一応小説っぽい形態をとっているものの、ストーリーが練れているとは言い難いです。
しかも、明細書の文章が無茶苦茶だとか言ってるわりに、この本の文章自体かなり無茶苦茶(笑

まあ、知財の関係者が「なんでやねん!」と突っ込みを入れながら読むぶんにはおもしろい本だと思います。
いい話のネタになるかも?

■関連

雲を掴め 富士通・IBM秘密交渉
雲の果てに 秘録 富士通・IBM訴訟
知財の利回り
死蔵特許

マルナゲ 企業特許の真実
川内 清隆
文芸社
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おすすめ度の平均: 3.0
5 知的財産の大切さ
1 駄文
 
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2008/07/27 (Sun)
勝手に使うな!知的所有権のトンデモ話 (講談社プラスアルファ新書)「知られざる特殊特許の世界」の著者、稲森謙太郎氏の本です。

今回は、知的財産にまつわる訴訟、その中でも特に著作権に関するものを中心に解説しています。
相変わらず、知財をあまり知らない人でも楽しめるようなざっくばらんな語り口は健在!

キャンディ・キャンディ事件、三島由紀夫の手紙掲載事件、LEC違法コピー事件、ニセたまごっち事件など、皆に馴染みのある人や物についての事件が解説してあります。


個人的におもしろかったのが、ときめきメモリアル事件についての解説です。
ときメモの事件は2つ挙げてあって、そのうちの1つは弁理士受験生に有名な「主人公のパラメーターをMAXにするメモリーカード」に関するもの。(※1参照)
こちらは知っていたのですが、もう一方の、同人ビデオ「どぎまぎイマジネーション」についての事件は知りませんでした。
ちなみに同人ビデオとは、アニメやゲームに登場するヒロインの2次創作物(この場合はアニメーションビデオ)のこと。
その多くは、個人製作であり、同人誌即売会やそれを扱っているショップなどで流通しています。

この「どぎまぎイマジネーション」の製作者を相手取り、コナミが著作権侵害で訴えたという事件です。
で、その「どぎまぎ~」の内容はというと、「ときメモの人気ヒロイン藤崎詩織が、伝説の樹の下で次々に性行為に及ぶ」(!)というもの。(※2参照)
要は、アダルトビデオなわけです(笑
当然、原作のときメモにはHシーンはありませんので、「このビデオは清純な詩織のイメージを汚すものだ!」と怒った詩織ファンがコナミ対して苦情を入れたというのが事件のきっかけです。

本書では、ここらへんの同人業界の事情がやたら詳しく書かれているのが笑えました。
もしかして、筆者はリアルに体験してるのかな(笑

ちなみに、判決は製作者にビデオの差止めと損害賠償(約230万円)が言い渡されたそうです。
製作者(被告)は「これは同人文化の一環としての創作活動だからいいじゃないか!」という旨の主張をしたが、相手にされなかったそうです(涙


ちなみに、本書が出版されたのは2001年12月ですが、それ以降稲森氏は著作活動から遠ざかっているようです。
こういう切り口で知財について書けるのは氏しかいないと思うので、非常に残念ですね。
また、こういう本を出してくれることを願ってます。


※1 上記メモリカードを使うと、主人公のパラメーターがMAXの状態でゲームが始まるため、ヒロインを簡単に攻略できてしまう。これに対して、コナミは同一性保持権の侵害であるとして、このメモリーカードの販売業者を訴えた。最高裁は、このメモリーカードはゲーム本来のストーリーを改変するものであるとして、コナミの主張を認め、販売業者に損害賠償の支払いを命じた。
※2 こちらに「どぎまぎ~」の詳しいレビューがあります(笑
同人ビデオどぎまぎイマジネーション(赤紙堂)

勝手に使うな!知的所有権のトンデモ話 (講談社プラスアルファ新書)
稲森 謙太郎
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おすすめ度の平均: 3.5
1 ユル~い本ですな。
3 もう少し、法律の視点があるとよかった
3 著作権だけでは守れない著作者の権利もある
5 知的所有権の事件簿。読み物としても十分楽しめる。
5 知的所有権の事件簿。読み物としても十分楽しめる。
 

■関連
知られざる特殊特許の世界
女子大生マイの特許ファイル

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2008/07/20 (Sun)
『知財IQ』をみがけ!―感度の高さがビジネス成功の第一歩 2年くらい前に読んだ本ですが、おもしろかったので書評を書いてみたいと思います。

タイトルは「知財IQをみがけ!」。

本書によると知財IQとは、「発明・特許などの知的財産の全てに関する、知覚、感覚の鋭さのこと」だそうです。
タイトルのとおり、知的財産をうまいこと使ってピンチを切り抜けたり、おいしい思いをしたような例が取り上げられています。
ちなみに、「知財IQ」は筆者の登録商標だそう(笑

先使用権、分割出願、特許侵害、無効審判、さらには意匠、商標、不正競争と、各トピックごとに事例が物語形式で紹介されています。
割と平易な文章で書かれており、非常に読み易いです。


印象に残ったのは、ある機械メーカーが特許侵害である旨の警告状を受け、製品販売を中止するように追い込まれた話。
しかし、このメーカーは諦めず、自社と権利者の製品の違いを見つけ出し、それについて意匠を取得。
最終的に、この意匠権を武器に、クロスライセンスまで持って行ったというものです。

この柔軟な対応こそが知財IQなのだと思いました。

特許はもちろん、意匠、商標、著作権を利用する手もあるのです。
さらには不正競争や営業秘密なども考慮する必要があるかもしれません。
知財とはもっと自由なものであるということに気付かされました。

本書は一般向けに書かれたものですが、知財=特許という硬直的な考えをしがちな知財部員こそ読むべきなんじゃないかと思います。

きっと、視野の狭さに気付かされるはず!
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