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某IT系企業の知財担当者。
社会人7年目(2013年現在)。
学生時代に一念発起して、弁理士の勉強を開始し、翌年、見事合格!
さらに翌年、大手電気メーカーの知財部に就職し、特許権利化を約5年間担当。
2012年、新天地を目指して、IT系企業の法務部に転職!
このブログを通して、知財部員の生き様が垣間見えれば幸いです。
ご意見、ご感想、相互リンクの申し出などお気軽にご連絡下さい!
(なお、確認するまで時間がかかるおそれがあるので、直にブログにコメントして頂いた方が確実です。)
e-mail:tizaibunositappa■yahoo.co.jp
(■に@を入れて下さい)
■twilog
先日、USに出願した件で、FinalのOfffice Actionが来ました。
その時に学んだことを書いておきます。
Final OAの対応でも、依然許可されなかった場合、アドバイザリーアクションが出されます。
その場合、対応として、継続審査請求(RCE = Request for Continued Examination)又は審判請求(Notice of Appeal)を検討します。
Appealでは、補正やデクラレーションが非常に制限されるため、通常は、まずRCEをかけて、審査官と十分なやり取りをしてからAppealをするようです。
(なお、Appealは、何れかのクレームが2回以上拒絶されていれば、請求することが可能)
また、Final OAでは、新規争点(new issue)を追加する補正は認められません。
従って、Final OA後に、new issueを加える補正(例えば、サブクレームの追加等)をしたい場合も、RCEを行います。
RCEを行っても、こちらの主張が認められず、審査官の意見にも承服できない場合は、Appealをすることになります。
Appealをする際に、Pre-Appeal Brief Conferenceを請求することができるそうです。
この制度を利用すれば、審査官の拒絶理由に明白な過失がある場合、安価で且つ迅速に結果を得ることができます。
と、こんなかんじです。
アメリカは、かなり特殊な制度が多いので、難しいですね・・・。
■関連
・米国特許法ざっくり解説
EP出願では、近年の法改正によって、クレームの数が15より多くなると追加料金を払わなければなりません。
では、追加料金っていくらかかるの?という話です。
調べてみると、2007年12月14日から、16番目以降のクレームには、1クレームにつき200ユーロがかかるようになっています。
Decision of the Administrative Council of 14 December 2007 amending the Rules relating to Fees (CA/D 16/07)
200ユーロは、現在の為替レートで換算すると、約2万5千円。
仮に10クレームオーバーしていたとすると、それだけで25万円(!)の追加料金を払わなければなりません・・・。
さらに、クレーム数が50を超えるとそれ以降のクレームは、追加料金が500ユーロ(約6万円)に跳ね上がります。
従って、あまりにクレームの数が多いようであれば、別出願にすることも検討した方が良いです。
なお、EPの最新の料金体系は以下を参照して下さい。(注:pdfファイル)
Schedule of fees and expenses Supplement to OJ EPO 2/2009 - corrected reprint
コメントで、出願1と同一内容(発明A)の出願2をすることに何の意味があるの?
という質問がありました。
おっしゃる通り、普通に考えるとかなり変なことをやってますが、その裏には複雑な理由があるんです・・・。
以下、昨日の記事には書いていない背景です。
出願1の出願から1年が経つくらいに(優先権が効く期間内)、発明Aについての外国出願をするかどうかの検討をした。
その結果、発明Aは今後自社で実施する可能性が高いので、是非とも外国にも出願したいということになった。
そこで、出願1に基づくパリ優先権を主張して、外国へ出願することになった。
しかし・・・。
今一度、出願1の明細書を読み返してみると、色々とマズい個所や記載が足りない個所が見つかり、明細書の内容を大幅に変更・追記する必要があることが判明した・・・。
通常であれば、出願aの出願日から1年経過前に、国内優先権をかけて中身を修正した出願bをし、さらに出願a及び出願bに基づくパリ優先権を主張した外国出願cを行うというのが一般的である。
しかし、今回の場合は、出願1の内容を大幅な修正する必要があり、修正後のもの(出願2)は、優先権が効かないくらいに中身が変わってしまう。
また、出願1には致命的な欠陥(例えば、権利解釈に不利となる記載や、実験事実に反するデータ等)があり、出願1と出願2の間に法的な関係があると、出願2の権利解釈にむしろ悪影響を与える可能性がある。
以上の様な理由から、出願1に基づく国内優先権は主張せずに、別出願として出願2を出願することにした。
そして、出願2に基づくパリ優先権を主張して、外国出願3を行う予定である。
このとき、出願1は残したままにするか、出願取り下げをするかが問題になる。
でも、出願取り下げって、色々社内手続きを踏まなければいけないから、面倒だなぁ。
審査請求はしないという前提で、出願1を残しておくのはダメ?
やっぱり、なんかマズいかな?
(ここらへんは、完全に社内事情です・・・)
・・・と、非常に長々と書きましたが、以上が背景の全容です。
まあ、昨日も書いた通り、出願2に基づくパリ優先権が主張できなくなるので、出願1は絶対に取り下げるべきなのですけどね(パリ条約4条C(4))。
説明が分かりにくかったら、ごめんなさい。
備忘録的な意味で書いておきます。
発明Aについての出願1を行い、その1年後に、同じく発明Aについての出願2をした。
出願1から1年経過後で、且つ出願2の出願日から1年以内に発明Aについての外国出願3をする場合、外国出願3は出願2に基づくパリ優先権を主張できるか?
(出願1、出願2、外国出願3共に出願人は同じ)
一見、外国出願3は出願2に基づくパリ優先権を主張できるように思えますが、答えは“否”!
根拠は、パリ条約4条C(4)です。
なお、出願2を出願する前に出願1が取り下げられていれば、出願2は発明Aについての最初の出願となるので、出願2に基づくパリ優先権を主張することができます(ただし、出願1は公開されておらず、いかなる権利も存続させず、且つ優先権の基礎とされていない)。
この話がパッと出てきませんでした。
パリ条約とか、ほとんど頭に残って無いですねぇ・・・。
パラメーターで表現されたクレームには、特有の問題が起こることがあります。
問題その1:どういう発明か分かりにくい
パラメーターを使うと往々にして分かりにくいクレームになります。
パラメーターが一般的に用いられないものであれば尚更です。
例えば、「表面のアスカーC硬度が~で、体積抵抗が~である物体」と「硬くて絶縁性である物体」とでは、後者の方が分かりやすいですよね。(クレームの表現としては適切でありませんが)
問題その2:パラメーターの臨界的意義が求められる場合がある
パラメーターの数値範囲の内と外で顕著な効果の差があることを示さなければならない場合があります。
特に選択発明の場合は、実施例において臨界的意義を示さなければなりません。
問題その3:クレームの範囲を不用意に限定してしまう場合がある
パラメーター表現を使うと、どうしても数値でかっちり規定することになります。
その結果、しなくてもいい限定をしてしまうことが起こり得ます。
場合によっては機能的表現をした方が、適切な場合があります。
問題その4:審査官によってはパラメーター表現を許してくれない場合がある
審査官によっては、パラメーターに対して非常に厳しいです。
パラメーターの技術的意義の説明を執拗に求められたり、記載不備を厳しく指摘されたりします。
挙句に、製法クレームに直されたり、実施例に記載されたごくごく狭い範囲に限定させられてたりすることも・・・。
以上、思いつくものをざっと挙げてみましたが、他にもあるかもしれません。
そんなわけで、パラメーター特許はなかなかやっかいなのです。
で、前回の冒頭で述べた、私が担当することになった件なのですが、すでに出願されている発明についてパラメーターを変えたものをクレームにしただけというものでした・・・。
つまり、クレームでは一見違う表現がされているのですが、実施例レベルでは先願とほぼ同じ・・・。
先願と何とか違いを出せないかと四苦八苦しています。
こういうことが起こるのも、パラメーター特許のやっかいなところです・・・。
ハァ、鬱だ・・・。
萎える気力をなんとか奮い立たせながら、業務に励みました。
今日は新しく担当する件について、発明者と面談をしました。
その発明と言うのが、ガチガチの物性値で規定されている、いわゆるパラメーター特許というやつでした。
私の担当する化学の分野ではよくある表現方法です。
パラメーターを使ったクレームが作成されるのは、以下の様な事情があります。
ある製品の開発において、従来の製品の製造方法から微妙な改良を加えることで、従来より優れた効果を持つ物ができることがあります。
しかし、その微妙な改良と言うのがあまりに微妙すぎて、完成品の構造や製造プロセスだけでは従来の物とうまく差別化できない場合があります。
そういう時に、新しく開発した物に対して様々な測定を行って、従来の物と違う数値が現れる測定方法を片っ端から探していくのです。
そして、違いの現れた測定方法とその数値範囲をクレームにします。
こうして、パラメーター特許ができるというわけです。(※1)
私の担当する製品はすでに成熟期に入っており、新たに開発される物も従来と基本的な構成がほとんど同じであるため、このような手法が多用されています。
しかし、このようなパラメーターで表現されたクレームにはそれ特有の問題が発生するのです・・・。
→次回へ続く
※1 上述した以外に、特許の検証性を担保するという理由もある。パラメーター特許であれば、他社製品を買ってきて、その製品に所定の分析を行えば、特許を侵害しているか否かの判断が容易にできるからである。
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