ブログ移転しました!→ 知財部員を辞めた人のブログ < http://ume-patent.com >
社会人7年目の知財担当者がつづるブログです!2012年に大手メーカーの知財部からIT系企業の法務部に転職。知財担当者の日常や知財実務、書評、キャリアプラン等が主なネタ。
プロフィール
UME(管理人)
某IT系企業の知財担当者。
社会人7年目(2013年現在)。
学生時代に一念発起して、弁理士の勉強を開始し、翌年、見事合格!
さらに翌年、大手電気メーカーの知財部に就職し、特許権利化を約5年間担当。
2012年、新天地を目指して、IT系企業の法務部に転職!
このブログを通して、知財部員の生き様が垣間見えれば幸いです。
ご意見、ご感想、相互リンクの申し出などお気軽にご連絡下さい!
(なお、確認するまで時間がかかるおそれがあるので、直にブログにコメントして頂いた方が確実です。)
e-mail:tizaibunositappa■yahoo.co.jp
(■に@を入れて下さい)
■twilog
某IT系企業の知財担当者。
社会人7年目(2013年現在)。
学生時代に一念発起して、弁理士の勉強を開始し、翌年、見事合格!
さらに翌年、大手電気メーカーの知財部に就職し、特許権利化を約5年間担当。
2012年、新天地を目指して、IT系企業の法務部に転職!
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2010/03/03 (Wed)
先日読んだ「知財の利回り」と一緒に、Amazonでおすすめされていたので、買ってみました。
本書では、権利として生きているにもかかわらず発明者や権利者にその存在を忘れられている特許を「死蔵特許」と称し、それによって引き起こされるパテントトロール問題について警鐘を鳴らしています。
その事例として本書でハイライトされているのが、米国特許第4698672号、通称、JPEG特許に関する事件です。
JPEG特許は、元はテレビ電話システムを開発するまっとうな事業会社であったVTELが保有するものでした。
といっても、その特許は長い間忘れ去られ、死蔵特許となっていました。
ところが、権利満了の直前になって、その存在が再発見されます。
そして、VTELを前身とするフォージェントは、JPEG特許を活用してライセンス料をせしめるビジネスプランを展開することを決断します。
つまり、フォージェントはパテントトロール化してしまったのです。
これによって、ソニー等の、当時すでに標準化されていたJPEGを用いる企業は、軒並みフォージェントのターゲットになってしまいます。
(なお、このJPEG特許は、JPEGの標準化を進める際に問題視されていたにも関わらず、放置された。)
そこらへんの詳しい経緯は本書を参照して頂くとして、本書を読んで考えさせられるのが、パテントトロールすらも許容する米国のプロパテントの在り方です。
(まあ、最近では、米国はアンチパテントの方向にシフトしつつあるとも言われていますが。)
確かに、eBay判決以降、米国では事業実施をしていない特許権者の差止請求は認められにくくなりました。
しかし、依然高額な損害賠償が請求される可能性は残っており、トロールが企業にとってやっかいなものであることには変わりありません。
トロールであると認定された権利主体には、特許権の権利行使全般を認めないという考え方もできますが、今度は何をもってトロールだと認定するのか?という問題が出てきます。
とすると、損害賠償額が高くなり過ぎないように法律を改正するのが一番現実的だという気がしてきます。
(日本国内でトロールが発生しないのは、これが理由であるはずです。)
今後も、JPEG特許のような問題が、標準化の際に起こってくる可能性があります。
そこには、特許制度の在り方という根本的な問題が問われているのかもしれません。
■関連
・パテントトロール~特許マフィアに狙われた日本企業の行方~
・知財の利回り
・IVは何を目指しているか?
・雲を掴め 富士通・IBM秘密交渉
・雲の果てに 秘録 富士通・IBM訴訟
・マルナゲ―企業特許の真実
パテントトロールの7つの発生原因が理解できる
本書では、権利として生きているにもかかわらず発明者や権利者にその存在を忘れられている特許を「死蔵特許」と称し、それによって引き起こされるパテントトロール問題について警鐘を鳴らしています。
その事例として本書でハイライトされているのが、米国特許第4698672号、通称、JPEG特許に関する事件です。
JPEG特許は、元はテレビ電話システムを開発するまっとうな事業会社であったVTELが保有するものでした。
といっても、その特許は長い間忘れ去られ、死蔵特許となっていました。
ところが、権利満了の直前になって、その存在が再発見されます。
そして、VTELを前身とするフォージェントは、JPEG特許を活用してライセンス料をせしめるビジネスプランを展開することを決断します。
つまり、フォージェントはパテントトロール化してしまったのです。
これによって、ソニー等の、当時すでに標準化されていたJPEGを用いる企業は、軒並みフォージェントのターゲットになってしまいます。
(なお、このJPEG特許は、JPEGの標準化を進める際に問題視されていたにも関わらず、放置された。)
そこらへんの詳しい経緯は本書を参照して頂くとして、本書を読んで考えさせられるのが、パテントトロールすらも許容する米国のプロパテントの在り方です。
(まあ、最近では、米国はアンチパテントの方向にシフトしつつあるとも言われていますが。)
確かに、eBay判決以降、米国では事業実施をしていない特許権者の差止請求は認められにくくなりました。
しかし、依然高額な損害賠償が請求される可能性は残っており、トロールが企業にとってやっかいなものであることには変わりありません。
トロールであると認定された権利主体には、特許権の権利行使全般を認めないという考え方もできますが、今度は何をもってトロールだと認定するのか?という問題が出てきます。
とすると、損害賠償額が高くなり過ぎないように法律を改正するのが一番現実的だという気がしてきます。
(日本国内でトロールが発生しないのは、これが理由であるはずです。)
今後も、JPEG特許のような問題が、標準化の際に起こってくる可能性があります。
そこには、特許制度の在り方という根本的な問題が問われているのかもしれません。
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・IVは何を目指しているか?
・雲を掴め 富士通・IBM秘密交渉
・雲の果てに 秘録 富士通・IBM訴訟
・マルナゲ―企業特許の真実
死蔵特許―技術経営における新たな脅威:Patent Hoarding訴訟
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榊原 憲
一灯舎
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おすすめ度の平均:
メーカーがパテント・トロール専業になった事例として興味深いパテントトロールの7つの発生原因が理解できる
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